両建てとヘッジングメカニズムの違いについて

2023-07-18
要約

ヘッジングメカニズムと両建ては金融取引において頻出の単語であるが、その関係性について曖昧な理解のままであるトレーダーは多い。本記事はそれらの概念の位置づけや関係性を明確にし、トレーダーのリスクマネジメントに寄与することを目的とする。

金融取引においてヘッジング(またはリスクヘッジ)とは既存のポジションや利益を保護し、損失の拡大を防止するために行うリスク管理戦略を意味する。たとえば、先物取引で、ある外国為替取引ペアにおいて買注文を入れているときに同じ取引ペアについて同時に売注文を入れることで相場下落による損失を防ぐことができる。

双方向取引とヘッジ保証

金融取引では先物取引と現物取引があり、それぞれについてリスクヘッジの方法が異なる。どちらも相場が変動したことによって生じる損失を防ぐという点では共通だが、その動機と目的が異なっている。 

先物取引において、買注文と売注文を両方同時に入れることを両建てといい、リスクヘッジの手法の一つとして頻繁に用いられる。両建てをする際にトレーダーは自身で相場が上昇するか下落するかを判断する必要がある。例えば、相場が上昇傾向にある場合、買注文と同時に売注文を入れることで、利益を確保することができる一方、万が一相場が急変し下落した場合でも損失を減らすことができる。 

両建てを行う動機は利益の確保にある。相場は常に変動しているため、変動の傾向を見極め、注文をいれるタイミング、そして決済のタイミングをトレーダー自身で決めなくてはならない。相場の動きは上がるか下がるかのどちらかだから、買注文と売注文を同時にいれることで、どのように相場が動いたとしても利益を確保できる。両建ての目的は相場がどちらに振れたとしても、利益を得られるようにすることにある。 

現物取引は取引に際して株式のように現物が必要であるため、リスクヘッジの仕方が先物とは異なる。現物取引の場合は、保有している現物の一部について売り注文を入れることで、損失を防ぐことができる。例えば、保有している株式が下落している場合、その一部について売り注文をいれることで、保有株式全体の評価額が下がったとしても損失の拡大を防ぐことができる。このように、現物取引において既に保有している利益やポジションを守るためにそれらの一部について売注文を入れることをヘッジングメカニズムと呼ぶ。 

ヘッジングメカニズムの動機は損失の拡大の防止にある。現物取引では既に現物またはポジションを保有しているため、ある意味での資産とみなすことができる。この資産の評価額が下がり損失となることを防ぐため、あるいは許容できる損失額を超えないように防ぐために、保有している株式やポジションの一部を売るのである。 

このように両建てとヘッジングメカニズムは金融取引のリスクヘッジであるという点では共通だが、その動機は大きく異なる。先物取引での両建ては相場の動向にかかわらず利益を確保しようとするものであり、現物取引でのヘッジングメカニズムは既に保有する商品の評価額の下落から生じる損失を防ごうとするものである。 

先物取引でも現物取引でも、どのようなリスクヘッジの方法を用いてもリスクが完全になくなる方法は存在しないことに注意する必要がある。例えば両建てを行うと手数料など追加の取引コストがかかるため、結果として損失を被ることもあり得る。また自身で相場の方向性を判断する必要があるため、トレーダーは意思決定時の要因を十分考慮する必要がある。


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