EBC研究所
要約
購買担当者景気指数(PMI)は、ある国や地域の製造業と非製造業の両方の経済活動を反映しています。経済や市場の動向を予測することができる先行経済指標です。
購買担当者景気指数(PMI)は一国の製造業と非製造業の経済活動を反映する先行経済指標です。株式市場の動向とも関連し、景気動向を予測する上で重要な役割を果たします。
購買担当者景気指数(PMI)とは
購買担当者景気指数(Purchasing Managers' Index)はPMIと略されます。毎月、その国を代表する企業の購買担当者を対象に実施される調査から得られたデータを集計したもので、新規受注、生産、雇用、仕入れ先からの納期、在庫などの指標のダイナミックな変化を通じて経済活動を反映しています。
PMIは米国で誕生した概念で、現在では世界中で広く利用されています。「HSBC総合購買担当者景気指数」と呼ばれる民間部門の報告書もあります。
購買担当者景気指数は1から100までの数値で表され、50が景気拡大と景気後退の境界線です。PMI指数が50を上回れば景気がよいとされ、下回ると景気が悪くなると考えられます。
アナリストは毎月購買担当者景気指数を予測し、実際の値は翌月初めに発表されます。実績値が予想値を上回ると、景気拡大の勢いが強いと解釈されます。
購買担当者景気指数は、製造業、サービス業、建設業など、様々な業種別に集計されます。総合PMIはこれらの業種別PMIを統合したもので、マクロ経済の動向を把握する上で重要な指標となります。迅速かつ簡便な調査方法のため、投資判断の先行指標として利用されます。
また、購買担当者景気指数はGDP、PBI、その他の経済指標と相関関係があります。PMIの転換点は、GDPの転換点を約1ヶ月リードする場合が多くありまるため、PMIは政府のマクロ経済管理と投資家の意思決定の両方に貴重なツールとなっています。
購買担当者景気指数は何を反映しているのか?
購買担当者景気指数(PMI)は、将来の経済動向を反映する先行指標です。PMIが持続的な改善を示している場合、それは景気拡大の積極的なシグナルと見なされ、一般的に株式市場のパフォーマンスにプラスの影響を与えます。逆に、PMIが低下している場合は、潜在的な景気後退を示唆し、株式市場にマイナスの影響を与える可能性があります。
また、購買担当者景気指数は中央銀行の金融政策決定において極めて重要な要素です。PMIが高水準で継続的に上昇している場合、景気過熱を示す可能性があり、中央銀行は安全策として利上げに繋がるかもしれません。
購買担当者景気指数と株式市場の間には正の相関関係が見られます。 ただし、PMIのデータは、市場動向に影響を与える数多くの要因の一つに過ぎません。
購買担当者景気指数は失業率、金利、インフレ率とも関連しています。一般的に、PMIの上昇は失業率の低下と関連しています。
要するに、購買担当者景気指数は経済状況の先行指標であり、市場動向を予測するための重要なツールです。PMIは意思決定における貴重な要素ではありますが、他の要素と合わせて検討し、個々の状況に応じて調整する必要があります。
| 前回値 | 今回値 | 発表日 | |
| 米国製造業 | 47.6 | 49 | 2023/10/2 |
| 米国非製造業 | 54.5 | 53.6 | 2023/10/4 |
| 中国製造業 | 49.7 | 50.2 | 2023/9/30 |
| 中国非製造業 | 51 | 51.7 | 2023/9/30 |
| スイス | 39.9 | 44.9 | 2023/10/2 |
購買担当者景気指数の計算式
購買担当者景気指数は、生産、受注、在庫、雇用、サプライチェーンなどを網羅したアンケート調査のようなものです。その結果に基づいて、生産指数、新規受注指数、雇用指数、納期指数、在庫指数など、さまざまなサブ指数が算出されます。これらのサブ指数は、経済活動の様々な側面を反映しています。
購買担当者景気指数は、これらのサブ指数の経済的重要性に基づいて重みを割り当て、平均値をとることによって計算されます。その計算式は次のとおりです。
購買担当者景気指数(PMI)=(新規受注×30%)+(生産×25%)+(雇用×20%)+(納期×15%)+(在庫×10%)
上記の計算式は、異なるサブ指数を組み合わせて総合的なPMI値を作成し、経済活動とその動向の指標として機能を果たしています。
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