両建てとはFX取引で同じ通貨ペアの買注文と売注文の2つのポジションを同時に持つことである。全体を俯瞰すると、両建ては取引効率を高める側面がある。
両建ては信用取引において同じ通貨ペアの買注文(ロング)および売注文(ショート)の2つのポジションを同時に持つことができる注文方法である。相反する2つのポジションを持つことで、損失を抑え、利益を最大化することができる。通常、同数の取引量で両建てをすると損益は相殺されるため意味はないが、使い方によっては損失を抑えることができる手法である。
今日、FX取引において両建ては当たり前の取引手法として知られている。しかし、昔からできたわけではなく、買注文または売注文のみ入れることができた時代があった。そのため、相場が予想と異なった動きになった時、トレーダーは指値注文を入れるか、損切をするしかなかった。しかし、両建てが可能となったことによりため、投資家は売買面でより柔軟な取引戦略を立てることができるようになった。
両建ては全ての取引で行えるわけではない。株取引はFXと異なり、現物取引の場合買注文(ロング)からしかできない。これは現物取引では持っていない株式を売ることができないからである。それに対して、FXは差金決済取引という信用取引の一種であり、信用取引においては自身が保有していない商品の取引が可能である。そのため、両建てが可能であり、FXにおける醍醐味の一つとなっている。
取引市場には売り手と買い手の二者がいる。通常、例えば買い手がドル円1ロットロングの注文を入れた場合、売り手はその注文を受け入れるしか無い。しかし、両建てができることで、売り手のニーズも同時に満たすことができるようになる。そもそも市場参加者はニーズや所有している資産、興味関心が全員異なっているが、両建てにより、双方の需要がマッチする可能性が高くなる。
このように双方の需要がマッチできるようになると、取引はより活発になり、売手と買手が取引に参加しやすくなる特徴がある。活発な取引により市場がよりダイナミックになり、流動性が高まることで、全体的な取引効率も高まる利点もある。
両建てを可能とするためには取引ルールと取引プラットフォームの両方が整備されている必要がある。取引ルールは双方向取引の手順が明確になっており、取引の公平性と透明性が確実に保証される必要がある。取引プラットフォームは売買取引を含む双方向取引機能インタフェースやリアルタイムでの取引価格の更新機能を提供する必要がある。市場参加者に最新の取引価格を提示しそれぞれのニーズを満たしやすくするためである。
両建ては柔軟で効率的な取引方式といえる。売買双方がより多くの利益を得ることができるようになるこの仕組みは現代市場経済の一部であり、市場発展の重要な推進力として不可欠なものと言える。