トランプ大統領の新たな関税脅威と英国国債利回りの上昇を受け、GBP/USDは1.3600近辺で推移しており、市場は英国の主要データとFRBの議事録を待っている。
GBP/USDは水曜日、国際的な貿易摩擦と国内財政リスクの高まりという複雑な状況の中、1.3600付近で慎重に推移した。市場は米国の新たな関税の脅威を織り込み、英国の財政見通しの変化に反応したため、英ポンドは狭いレンジ内で推移し、上下への動きは限定的となった。
貿易戦争のレトリックが影を落とす
トランプ米大統領が、銅と医薬品への大幅な関税を含む、7カ国からの輸入品を対象とした新たな関税導入計画を発表したことを受け、市場心理は低迷した。火曜日の閣議でトランプ氏は、銅の輸入に50%の関税を課す意向を表明し、来年から医薬品にさらに200%の関税を課す可能性を警告した。さらに、特にBRICS諸国を中心とした脱ドル化を推進する国々に10%の関税を課す可能性も示唆した。
これらの展開は、保護主義政策の復活への懸念を煽り、トランプ政権初期の世界市場を揺るがした貿易摩擦を彷彿とさせている。明確な実施時期が示されていないにもかかわらず、トランプ氏の発言は金融市場全体に警戒感をもたらした。一方、米ドル指数(DXY)は97.50付近で堅調に推移し、週間高値にわずかに届かない水準となった。
ポンドに対する国内の逆風
地政学的動向がセンチメントを圧迫する一方で、ポンドは国内の複雑な財政状況にも直面した。英国のレイチェル・リーブス財務相は最近、自ら課した財政規律を放棄し、抜本的な福祉改革を推し進めた。その結果、英国国債(ギルト)の売却が増加し、利回りが上昇した。指標となる10年国債の利回りは約4.63%に上昇し、現在では先進国の中でも最高水準となり、世界では2カ国に次ぐ高水準となっている。
英国予算責任局(OBR)によると、英国は現在、先進国の中でも最も高い借入コストに直面している。予測によると、追加的な福祉支出により、2029~2030年までに国家財政負担が48億ポンド増加する可能性がある。英国国債利回りの上昇は金利コストの上昇につながり、長期的な財政リスクをもたらしている。
市場の焦点:今後のデータとFRB議事録
今後の見通しとしては、トレーダーは金曜日に発表される英国の5月のGDPと鉱工業生産の統計に注目し、経済の基調的な強さや弱さの兆候を探ろうとしている。一方、米国では、7月17~18日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録の発表に注目が集まっている。この議事録は、依然として脆弱なインフレ環境の中で、FRBの政策の方向性を示唆する可能性がある。
トランプ大統領が7カ国に対する追加関税計画を発表する予定であることは、ボラティリティをさらに高める可能性があるものの、相互関税の発動が8月1日に延期されることで、即時の影響は限定的となる可能性がある。それでも、特に貿易関係をめぐる不確実性が再燃する中、投資家は引き続き警戒を強めている。
テクニカル展望:ポンドは狭いレンジに閉じ込められている
テクニカルな観点から見ると、GBP/USDは1.3600水準をわずかに下回る水準で推移している。このペアは1.3590付近の20日指数移動平均線(EMA)付近で推移しており、方向性の確信が薄れていることが浮き彫りになっている。14日相対力指数(RSI)は中立水準の50付近で推移しており、力強いモメンタムの欠如をさらに浮き彫りにしている。
主要な支持線は心理的な1.3500レベルにあり、抵抗線は3年半ぶりの高値である1.3800付近に迫っている。どちらかの方向に上抜ければ、次の重要な動きを示唆する可能性があるが、今のところはレンジ内での値動きが続いている。
結論
GBP/USDは、世界および国内の不確実性が広がる中、足踏み状態が続いている。トランプ大統領の貿易政策に関する脅威と英国の財政問題は、まだ決定的な動きには至っていないが、投資家心理に影響を与え続けている。重要な指標発表や政策変更が迫られる中、ポンドは近いうちに方向性を選ばざるを得なくなるかもしれない。しかしながら、今のところは慎重な姿勢が優勢であり、GBP/USDは不確実性に直面しながらも堅調に推移している。
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